化粧品の成分表示の見方|全成分表示のルールと医薬部外品の違い
化粧品の成分表示は、配合量の多い成分から順に書かれているため、先頭の数成分を見ればその商品の土台が分かります。ただし、配合量1%以下の成分や着色剤は順不同で書いてよいため、後半の並び順から量を読み取ることはできません。この記事では、全成分表示のルールと、医薬部外品との違いを説明します。
全成分表示はいつから、何のためにあるか
日本化粧品工業会によると、2001年4月の化粧品の規制緩和に伴い、化粧品の全成分表示が義務化されました。それまでは一部の成分だけを表示すればよかったのに対し、配合したすべての成分を容器などに書くことになりました。肌に合わなかった成分がある人が、商品を選ぶときに自分で確かめられるようにするための仕組みです。
成分の名前は、日本化粧品工業会がつくる「化粧品の成分表示名称リスト」に載っている表示名称を使います。この名称は、米国の業界団体が定めるINCI名をもとに作られています。同じ成分がメーカーによって違う名前で書かれることがないよう、名前をそろえるためのリストです。
どこに書かれているか
同会の「化粧品の全成分表示の記載方法に関する自主基準」(2018年7月)では、成分表示は直接の容器か直接の被包に書くこととし、外箱に書いた場合は容器への記載を省略できるとしています。東京都健康安全研究センターは、成分が外箱にだけ書かれていることがあるため、新しい商品で肌が心配な人は箱か成分表示の部分を取っておくよう勧めています。通販で買う場合は、商品ページに全成分が載っているかも確認しておくと安心です。
並び順のルール
自主基準では、成分は仕込み時の分量にしたがって、次のどちらかの方法で書くとされています。
| 方法 | 書き方 |
|---|---|
| 方法1 | すべての成分を配合量の多い順に書く。1%以下の成分は順不同でよい |
| 方法2 | 着色剤以外を配合量の多い順に書き(1%以下は順不同)、最後に着色剤をまとめて順不同で書く |
このルールから、次のような読み方ができます。
- 先頭に「水」があれば、水を土台にした商品です。化粧水や乳液では先頭が水であることが多くあります。
- 先頭から数番目までに書かれた成分が、その商品の使用感を大きく左右します。
- 後半の成分は1%以下の可能性があり、並び順で量の多い少ないは判断できません。
- リストの最後に酸化チタンや酸化鉄などの色の成分がまとまっていれば、方法2で書かれていると考えられます。
香料・植物エキス・混合物の書き方
自主基準には、ほかにも読み方に関わる決まりがあります。
- 香料:いくつもの成分からできていても、まとめて「香料」と書いてよいとされています。香料の中身の成分までは分かりません。
- 植物エキス:抽出したエキスと、抽出や希釈に使った溶媒(エタノールやBGなど)を分けて書きます。
- 混合物:混ぜてある原料は、成分ごとに分けて書きます。
- 同じ成分:同じ成分を何度も書かず、合計した量で並び順を決めます。
たとえば、エタノールを配合した商品に、エタノールで抽出した植物エキスも入っている場合、エタノールは1回だけ、合計の量に応じた位置に書かれます。アルコールを避けたい人は、エキスの溶媒まで含めてエタノールの有無を確かめられます。
成分名を調べるときは、表示名称のまま検索すると説明が見つかりやすくなります。表示名称はリストで統一されているため、メーカーが違っても同じ成分は同じ名前で書かれます。気になる成分を避けたい人は、その名前をメモしておき、商品ページや箱の全成分と照らし合わせると確認の手間が減ります。
書かなくてよい成分(キャリーオーバー)
自主基準では、次のような成分は容器に書く必要がないとしています。
- 原料の品質を保つために原料メーカーが加えた防腐剤や酸化防止剤のうち、化粧品の中では効果が出ない程度のごく少ない量しか残らないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)
- 原料にもともと混ざっている別の成分や、反応でできた副生成物
- 製造の途中で加えても、完成品には残らないもの
つまり、全成分表示は「意図して配合した成分」の一覧で、ごく微量の付随成分まですべて載るわけではありません。特定の成分で強い反応が出たことがある人は、成分表示だけで判断せず、医師やメーカーの窓口に相談すると確実です。
色違いの商品に出てくる「+/-」
ファンデーションや口紅、アイシャドウのように色違いがあるシリーズ商品では、成分表示に「+/-」という記号が出てくることがあります。自主基準では、シリーズ商品に限り、「+/-」のあとにシリーズ全体で使う着色剤をまとめて書いてよいとしています。東京都健康安全研究センターも、この記号のあとの成分は手元の色の商品に入っているとは限らないと説明しています。
医薬部外品は表示の仕組みが違う
「医薬部外品」と書かれた薬用化粧品は、化粧品とは成分表示の決まりが異なります。東京都健康安全研究センターは、化粧品は法律で全成分表示が義務づけられている一方、医薬部外品は業界団体の自主基準で成分表示をしていると説明しています。日本化粧品工業会は、医薬部外品の成分表示を同会の自主基準として2006年4月から実施しました(猶予期間2年)。
| 項目 | 化粧品 | 医薬部外品 |
|---|---|---|
| 根拠 | 法律で全成分表示が義務 | 業界団体の自主基準 |
| 成分の名前 | 化粧品の成分表示名称リスト | 医薬部外品の成分表示名称リスト |
| 見分け方 | 特別な表示なし | 「医薬部外品」の文字 |
医薬部外品には、製品の目的となる効果を表す「有効成分」があります。化粧品は配合成分全体で使用感や効果を出すため、「有効成分」という言葉を使いません。化粧品か医薬部外品かで成分表示の読み方が変わるので、まず箱の表示を確かめてください。化粧水を例にした違いは化粧水の選び方でも説明しています。
まとめ
全成分表示は、前半を「その商品の土台」、後半を「量の分からない少量の成分」として読むと実態に近い理解になります。香料はまとめて書かれること、ごく微量の付随成分は載らないこと、医薬部外品は別の仕組みで表示されていることを押さえておけば、成分表示を商品選びの手がかりとして使えます。商品一覧から候補を探し、気になる商品は各ショップの商品ページで全成分を確かめてください。